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ピアノの鍵盤は昔、真っ黒だった!

ピアノの鍵盤といえば「白と黒」のコントラストが当たり前ですが、実は昔は鍵盤が真っ黒だった時代があるのをご存じでしょうか?なぜ現在のような白黒の鍵盤に変化したのか、歴史をひも解きながら解説します!

黒い鍵盤が主流だった時代

ピアノの前身であるチェンバロやクラヴィコードでは、鍵盤の配色が現在とはでした。 つまり、白鍵が黒く、黒鍵が白かったのです。

その理由は素材にあります。鍵盤には高級木材の黒檀(こくたん)が使用されていました。この素材は耐久性が高く指触りも良いため、主要な鍵盤素材として広く使われていました。一方、白鍵部分には高価な象牙が使用されており、面積の小さい部分(現在の黒鍵)に採用されることが多かったのです。視認性やコストの観点から、こうした逆配色が長く続いていたのです。

チェンバロの時代の配色スタイルが、ピアノの「黒鍵盤時代」の土台を作ったそうです。

白黒の鍵盤が定着した理由

19世紀に入り、ピアノが鍵盤楽器の主流となると、現在の白黒配色が一般化しました。その背景にはいくつかの理由があります:

  • 視認性の向上 白鍵がベースになることで鍵盤が見やすくなり、暗い場所でも演奏しやすくなりました。
  • 象牙の流行 象牙の使用が広がり、財力を示す象徴として鍵盤の広い白鍵部分に採用されるようになりました。
  • 演奏のしやすさ 白鍵が広くなったことで指の動きが滑らかになり、演奏の快適性が向上しました。
  • デザインの統一 ピアノメーカー間での競争が激しくなり、現在の白黒配色が標準化されました。

鍵盤の色の進化が生んだピアノ文化

鍵盤の配色が進化したことで、ピアノはより多くの人々に親しまれる楽器となりました。もし現在も黒い鍵盤が主流だったら、演奏の感覚や楽譜の視認性は全く異なっていたかもしれません。

また、1989年のワシントン条約により象牙の国際取引が禁止され、日本国内のメーカーは次々に人工象牙への移行を進めました。ヤマハの「アイボライト」やカワイの「ファインアイボリー」といった独自の素材は、象牙の滑らかな質感を忠実に再現しつつ、耐久性や演奏性が向上した革新的な鍵盤として評価されています。人工象牙は環境保護と演奏性の両立を実現し、多くのモデルで標準装備されています。ヴィンテージピアノや特別なモデルで象牙鍵盤が見られることもありますが、現在では人工象牙が主流となっています。

日本の技術が生んだ人工象牙の進化

人工象牙の開発には、日本の技術力が大きく発揮されています。ヤマハやカワイをはじめとする日本のピアノメーカーは、象牙特有の滑らかな感触を科学的に分析し、その質感を人工素材で忠実に再現しました。さらに耐久性を向上させ、滑りにくさを備えた鍵盤を独自に開発しています。

例えば、ヤマハの「アイボライト」やカワイの「ファインアイボリー」は、長時間演奏しても快適さを損なわない設計がされており、環境保護にも配慮されています。これらの技術は、演奏者のニーズに応えながら伝統と革新を融合した日本のものづくりの象徴といえるでしょう。人工象牙は単なる代替素材にとどまらず、持続可能なピアノ文化の発展に大きく寄与しています。

匠の技が詰まっていると言われているそうです

まとめ

ピアノの鍵盤の色が白黒に進化した背景には、視認性の向上、象牙の使用拡大、演奏性の改善など、演奏者と時代のニーズに応える工夫が盛り込まれています。そして、人工象牙の導入によって環境保護や持続可能性も意識されるようになりました。日本の技術力が生んだ人工象牙は、快適な演奏性と環境への配慮を実現し、より多くの人々に愛されるピアノ文化を支えています。

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